これまで鍵についての定義や歴史、そしてそのさまざまな種類についてお話させてもらってきたのですが、いよいよ最後の鍵のお話をさせて頂く時がきました。題して「鍵のトリビア」です。
世界でもっとも小さな国であると同時に、キリスト教最大教派カトリック教会の総本山であるヨーロッパはバチカン市国。その国旗と国章には鍵の種類ページで解説させていただいた、スケルトンキーのような鍵の紋章が使われているのです。その図柄は、トーンを落とした赤地に金と銀の2本の鍵が交差しており、これらの上部に教皇のものと思われる王冠が描かれています。なお、このデザインに鍵が使用されるようになった由来とは、天国の鍵がカトリック教会の初代教皇であったペトロに与えられたという故事に基づいています。
また、バロック期のスペインの画家であったディエゴ・ロドリゲス・デ・シルバ・イ・ベラスケスによって描かれた絵画「ブレダの開城」には、1625年にスペイン軍によって陥落したブレダの守備隊指揮官ユスティヌス・ファン・ナッサウから、スペインの将軍アンブロジオ・スピノラへ降伏の証として鍵が手渡される場面が緻密な筆致で描かれています。
このように鍵はその役割からしばしば権威などの象徴として扱われる事があります。